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感想ー東京大学社会科学研究所末広昭先生初めての台湾旅行 

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追随者から価値創造者へ、Made in TaiwanからLife in Taiwanへの技術革新へ
 今回、東京大学社会科学研究所の4名は、9月21日から27日まで台湾を訪問しました。全員が初めての台湾旅行でした。実質的に6日間という短い旅行でしたが、この間に、新竹の工業技術院(ITRI)、産業経済與趨勢研究中心(IEK)、IT企業2社、高雄の国立中山大学(NSYSU)、台南郊外のITRI南分校、台北の国立政治大学、国家実験研究院科学政策與資訊中心(STPI)、中央研究院(欧美研究所、社会学研究所)、中共研究雑誌社、そして、高雄の自強夜市、台北の国立故宮博物館、士林の夜市、迪化街の永楽市場、八徳街の光華商場、円山大飯店、伝統的な茶迎館など、じつに多くの大学・研究機関や「見どころ」を訪問し、多数の人々と議論をし、さらにおいしい台湾料理を毎日堪能することができました。
 6日間という日程で、これほど充実した旅行は初めてのケースです。これも招聘していただいた国立中山大学社会科学院の郭育仁先生の周到かつエネルギッシュな計画と、同大学日本研究中心の林怡利女史、陳郁婷女史2名のホスピタリティ溢れる助力の賜物であったと、訪問者一同、心から感謝申し上げます。私たちの社会科学研究所では、過去5年間に郭先生をはじめ、ITRIの鍾先生、頼先生、蕫先生を客員研究員として受け入れてきましたが、今回の旅行で、改めて台湾と日本、台湾の研究機関と東京大学の間の強い結びつきを確認した次第です。
 国立中山大学は、海に面した素晴らしいキャンパスでした。昼と夜に海べりのレストランで提供された食事も、海や山の幸をふんだんに使った大変おいしい料理でした。議論した先生や学生諸君も、国立中山大学の校訓である「博学、審問、慎思、明弁、篤行」を体現しているように感じました。
 ところで、台湾は現在、経済的にも社会的にもひとつの岐路に立っています。従来のIT産業を中心とした経済構造をどのように高度化するのか、少子高齢化社会に対してどのように対応していくのかが、大きな課題となっています。そうした中で、台北、新竹、台南、高雄のいずれの都市でも、「追随者(followers)から価値創造者(value creators)へ」をめざすイノベーション(創新)の推進が、共通の目標になっていることに、強い印象を受けました。また、イノベーションの対象が、従来のような狭い製造業だけではなく、高齢化社会に適合した新しい医療健康サービスのための技術開発(Medical Device など)に向かっている点も興味深く感じました。
 IEKでは台湾の今後の持続的な社会を、「普遍的vs.地方個性的」という縦の軸と、「社会の幸福vs.個人生活の幸福」とう横の軸で分割された合計4つの領域に分け、それぞれの領域で新しい技術開発と社会構築を目指しています。つまり、「Made in Taiwan」の工業化から「Life in Taiwan」の成熟社会化を目指しています。
 こうした課題は日本もまったく同じです。台湾での今回の講演で、私は「新興アジア経済」を見る視点として、「生産するアジア」「消費するアジア」「老いてゆくアジア」「疲弊するアジア」の4つの視点を提供し、経済的発展(成長するアジア)と社会的発展(少子高齢化や拡大する経済的不平等に挑戦するアジア)のバランスが必要であることを主張しました。また、日本が日本国内だけではなく、台湾をはじめアジア諸国と交流し、それぞれの経験と智慧を交換することで、現在の経済的社会的諸問題に取り組むことの重要性も訴えてきました。
 台湾の大学・研究機関や民間企業が取り組んでいる現在のさまざまな試みは、日本社会にも多くの示唆を与えてくれます。羽田空港から松山空港の間は飛行機でわずか2時間半の距離にすぎません。東京と大阪の近さです。日本と台湾が相互に学び合い、持続的な未来社会を共に構築することの重要性とその可能性。今回の訪問は、そのことを強く感じることのできる有意義な旅行でした。招聘していただいた国立中山大学の郭先生とその同僚のみなさまに、改めて感謝申し上げます。謝謝。 
 
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